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シンポジウム登壇のご報告(11月20日)

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難病患者の「生きる」の限界点を上げるために
・在宅医療において、緩和ケアはマイナススタート
・身体的苦痛の確実な解除が、ACPを開始する前提条件
・在宅医学管理と確実な緊急対応で不要な入院を削減
・受容に必要な(できるだけ平穏な)時間を確保
・家族の負担に依存しない介護支援体制の構築も重要

 

2020年11月20日、医療法人社団悠翔会理事長・診療部長の佐々木淳が、第25回日本難病看護学会・第8回日本難病医療ネットワーク学会合同学術集会/シンポジウム「いきいき暮らすための難病の緩和ケア」にて、在宅医の立場から感じるところ、考えるところをお話しさせていただきました。

 

在宅医療とともに生活する難病患者さんの原疾患の多くはALSやSMAなどの神経難病。そして、その多くは診断時にかなり大きな衝撃を受けるとともに、生活の継続=延命治療という医療者の価値観を押し付けられているケースが少なくありません。

 

自覚症状の緩和においても、症状を訴えられない、訴えても適切に対処してもらえないことが少なくありません。

 

特にコミュニケーションに支援が必要な人は、入院治療により大きな不安や不利益にさらされる可能性があります。

 

十分な(治療以外の)ケアが受けられないことで廃用症候群が進行し、ADLの低下が加速してしまうこともありますし、きちんと意思が伝達できない状況で、以前の暫定的な意思表示、あるいは家族などの代理意思で、重要な状況判断が行われてしまうことも少なくありません。

 

意思決定支援においては、特に本人と家族の利害が必ずしも一致しないことに留意が必要です。最適な意思決定支援のためには、家族介護への依存を減らすこと、本人が意思伝達がきちんとできる状況を確保しておく必要があります。

 

そして、在宅医療の最も重要な役割は、本人にとっての最適な選択はなんなのか、考える時間的・精神的・環境的余裕を確保すること。

 

納得できる選択、そして「生きる」の限界点を上げるために。診断時から一貫した援助的関わりができる体制を目指していきたいと思います。

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