活動報告
能登半島震災の活動支援報告会を行いました
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■能登半島震災の活動支援報告会を行いました
能登半島震災に際し、医療法人社団悠翔会では、3月までに6名の看護師が現地での活動支援を行っています。2024年4月11日に開催したケースカンファレンスでは、現地で活動した看護師による報告を行いました。
これまでの大規模災害において、悠翔会は物的・人的支援を行い、災害医療としての新型コロナウイルス対応にも主体的に取り組んできています。今回、悠翔会は、現地の福祉避難所ならびに介護施設にて、災害関連死を減らすための支援を行いました。
近年、急性期の災害支援体制が整ったことにより、災害直接死は大きく減少しました。一方で、回復期から生活期には公的支援の仕組みがなく、災害関連死は災害直接死の4倍にもなることが明らかになっています。支援の対象となるのは、多くが生活を自分で立て直すことの難しい、要介護の高齢者です。高齢化の進む能登半島では、看護師は震災前の3分の1となり、介護職も激減する厳しい状況が続いています。
最初に報告した内田麻衣は、2名の看護師、井浦持春(悠翔会在宅クリニック稲毛)・ゲーザー襟子(ノビシロクリニック藤沢)と共に、2月に、輪島市門前町と志賀町の3拠点で支援を行いました。内田は、支援に臨むために必要な身体・手続き・備品から活動の詳細、気づきや課題について説明し、「活動するうえでの大前提として、専門職というより生活者としての意識が必要になる。受け身ではなく、現場の方たちと主体的なコミュニケーションをとっていくことが大切。支援する人には、それまでに蓄積された“人間力”が求められる。震災により、見えなかった現場の課題が浮き彫りになっていることも感じた」と話しました。
また、実際に支援を行った感想として、「支援のあり方への認識はもちろん、日常についての認識を変えるきっかけを得た。被災者・支援者という枠を超えて、一人ひとりの人間としてどうあるべきかを日頃から意識しておくことが、瞬時の判断力や臨機応変な対応力につながる」などと述べました。
さらに、法人として持続可能性のある支援をしていくために必要なこととして、看護師の主体的な支援窓口の設置や、全職種が支援にかかわれる体制づくり、活動実績の蓄積と振り返りの実施などを提案しました。
続いて、伊禮純子(悠翔会在宅クリニック川崎)が報告を行いました。悠翔会在宅クリニック川崎からは、3月に、伊禮のほか、宮本萌那、高橋あゆみが参加し、3名が交代で門前町・鳳珠郡穴水町の2施設にて支援を行っています。伊禮は、震災直後から現在までの経過、災害状況などを報告し、まとめとして、フェーズに合った職種や支援が必要であること、実際に被災された方々の声を聞き、災害対策の意識が高まったことなどを発表しました。
活動終了後、悠翔会在宅クリニック川崎では、伊禮ら3名が中心となり、クリニック独自のBCP対策を検討しました。クリニック職員と患者さんについて、災害時の出勤方法や医療機器使用状況を把握し、クリニックの避難経路や物品の確保を行うとしています。防災知識がなくとも避難行動を行えるようにするためのアクションカードの作成や、災害時のシミュレーション訓練も検討中です。電子カルテが使用できなかった場合に備え、患者さんの避難所リストも作成しました。
発表後のディスカッションでは、2月に活動した井浦が、「被災地に向かうスタッフを送り出すクリニックの支援体制は必須。実際に活動したからこそ、継続しなければ本当の支援にはならないことを実感している」と話しました。
今回、6名の看護師は、新設したボランティア休暇を利用し、災害関連死を防ぐために立ち上げられた広域支援組織DC-CAT(Disaster Community-Care Assistance Team)に登録するかたちで支援を行いました。わたしたちのように、ある程度規模の大きな医療法人には、公的支援の枠組みのないフェーズで地域を支える社会的責任があると考えています。必要な人に支援を届けるという意味だけでなく、活動はわたしたち自身の学びと経験の蓄積となり、困難な状況からの回復力の向上にもつながります。これからも積極的に災害支援に取り組んでいきたいと思います。